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フィギュアスケートについて適当に語ってます。


by WhiteButterfly189

ハーフループとステップアウトの境界線―四大陸鈴木選手FS


また数日更新休んでしまい申し訳ありません。しばらくこんな感じの更新が続くかもしれませんがご了承ください。


で、今日のネタは以前ちょっとだけ感想記事で触れた内容を、もう少しきちんと考えてみたいと思ったものです。

なぜ四大陸選手権で、鈴木選手の3Lz-1Lo-2Sは1Loがステップアウトと見なされて3Lz+SEQ扱いになっていたのか。中国杯のジュベール選手の3S-1Lo-2Sは1Loがダウングレードされたものの3S+SEQ扱いにならなかったのか。

一応二人の該当演技の動画を貼ります。二コ動なので、嫌な方は下の白い吹き出しを押してコメを消してご覧下さい。

四大陸鈴木選手FS


問題のジャンプは2'25辺り。こちらは3Lz+SEQ判定を受けました。


中国杯ジュベール選手FS


問題のジャンプは4'29辺り。こちらは3S+1Lo<<+2S判定を受けました。



確かにジュベール選手の方がバランスの崩し方が少ないです。鈴木選手の方がより大きく体勢を崩したので、ジュベール選手より大きな失敗に見えます。

でも、二人とも着氷が前向きだったことは同じ。

だから、そのあと2Sをくっつけるために前向きのエッジから後ろ向きのエッジに変える動作は絶対必要だったわけですよね。

そして、ジャンプシーケンスの定義はこちら(注.ISUのページの文言をsahoが訳したものなので正確性は保障しかねます)

「ジャンプシーケンスとは、ジャンプのリズムを維持したまま、記載の無いジャンプ(注.バレエジャンプとか、いわゆる要素として用いられる6種のジャンプ以外のジャンプのことだと思われる)またはホップによって、互いに直接つなげられた任意のジャンプからなる。シーケンスの間にはターン、ステップ(ジャンプの入りだとしても)、ストローク、クロスオーバーがあってはならない。ターンとは、スリーターン、ツイズル、ロッカー、ループ、ブラケット、カウンターのこと。ステップとは、トゥステップ、シャッセ、モホーク、チョクトー、クロスロール、チェンジエッジによるカーブのこと。」

…つまり、シーケンスは、ジャンプとジャンプの間に跳ねる動作が必要で、逆にそれ以外の動作は一切だめ、ということになります。よね?

但し、今年からハーフループを挟んだ連続ジャンプは、シーケンスではなくコンビネーションにしようというルール改正がありました。そして、コンビネーションの規定はこちら(注.これも上記と同じ理由により正確性は担保しかねます)

「コンビネーションジャンプにおいては、ファーストジャンプを着氷した足がセカンドジャンプの踏み切りの足となる。サードジャンプも同様。記載の無いジャンプによってジャンプがつなげられている場合、そのエレメンツはジャンプシーケンスと呼ばれる。しかし、ハーフループ(またはEuler(注.発音わかりませんが、多分ジャンプの種類))がコンビネーションやシーケンスで使われた場合、それはシングルループと等価の記載のあるジャンプ(注.エレメンツとして使える6種のジャンプ)として考慮される。単独で実行された場合は、記載の無いジャンプとして扱われる。」

つまり、ハーフループは、連続ジャンプ中で用いられた場合に限り、シングルループと同一の価値をもつジャンプとして、1ジャンプに数えるということになります。私の読解が間違っていなければ。

ハーフループに独立したジャンプとしての価値を(連続ジャンプ中でのみ)与えたことにより、ファーストジャンプからハーフループ、ハーフループからセカンドジャンプの間には一切の動作を入れてはいけない、というわけになったんですね。


参考URL
http://www.isu.org/vsite/vfile/page/fileurl/0,11040,4844-197593-214816-125742-0-file,00.pdf

つまり、ジュベール選手は、前向きから後ろ向きに戻る動作がターンやステップには見られなかったから認定(ダウングレードだけど)、鈴木選手はターンかステップ(引っかかったとしたら恐らくスリーターン。LFO→LBIだと思う。自信はない)に見られたから認定なし。こういう理屈になります。


でも、それってどうなんでしょうか?あまりにも非本質的な話になってはいないでしょうか?大体、そういう着氷の角度なんて選手はわからないだろうし(よくインタビューとかで「回転不足かどうかは判らなかった」という選手の発言、聞きますよね)。もし、ハーフループ(?)を跳んだ時点で上記の危険性に気づいていたら、2Sは飛ばないでしょう。あの場ではそのほうが得だったんですから。こうしたことを考えなかったからこそ、鈴木選手は2Sをつけたと思うんです。




それに、何でそんなにステップアウトばっかり厳しいのかな、とも思ったりするんです。

例えば、コンビネーションやシーケンスの間にオーバーターンが入るのは問題ないようなんです。

2010浅田選手バンクーバー五輪FS


日本中のフィギュアファン、そうでなくても多くの方が未だに覚えているでしょうが、3'15付近ですね。オーバーターンが入ってしまいました。

2010GPFチャン選手FS


3'27付近のハーフループコンビにオーバーターンが入っています。



そりゃ、オーバーターンの方がステップアウトより軽微なミスだってのはわかりますよ。

でも、あれだけ連続ジャンプの間でくるくる回っているのに、その動作がターンやステップに含まれないからというだけで連続ジャンプ認定する。片や、頑張って見て、ようやく「ターン入ったかも」というレベル、しかも、オーバーターンの動きよりは遥かに小さなスリーターン(らしきもの)を見逃さずに、連続ジャンプとして見なさないって…それはない。こう思ってしまうのは私だけではないはず。

で、何で私がこんなことにこだわっているかというと、結構この認定による点差が大きいから。

鈴木選手はこのジャンプを後半に予定していました。ですから、それぞれの基礎点は

3Lz-1Lo-2S 基礎点8.69 1Loがダウングレードされていた場合8.19(ジュベール選手に倣って)

3Lz+SEQ 基礎点5.28

ということで2.91点差(ダウングレードの場合)。

7位の鈴木選手のSP、FSあわせた総得点は162.59。

6位のファヌフ選手の総得点は163.14。

この点差は、少なくともこの四大陸においては順位が入れ替わっちゃうくらいの大差だってことです。

ちなみに、別の技で2.91点を別の技の基礎点で補おうとすると、フライング(or足替え)アップライトorレイバックスピンレベル4(基礎点2.9)が必要になります。


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今回の記事を書いている過程で面白い一文を見つけました。

「シークエンスジャンプは、各ジャンプの基礎点を加算したものに0.8掛けしたものを基礎点とする。これは、コンビネーションジャンプを失敗した結果のカバーとしてステップアウトから2番目のジャンプを跳んだものを実質的に減点できる反面、ジャンプの多彩な組み合わせの試みを制限するものともなっている(0.8掛けという性質上、基礎点の高いジャンプで跳んでも難易度の割に低得点となるため)」 wikipedia「ジャンプ(フィギュアスケート)」より引用

参考URL
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97_(%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88)


ま、wiki出典なので鵜呑みにしてはいけないんですけど。でも、もしこの部分が本当なら、ISU側もハーフループとステップアウトの明確な違いを定義できず、ハーフループシーケンスをあまり選手に飛んで欲しくなかった、という邪推ができてしまいます。本当にステップアウトしているのだったらファーストジャンプ+SEQでいいはずですものね。でも、ハーフループの失敗である可能性も捨てきれない。だったら、ハーフループのシーケンスはもとの基礎点の和の0.8倍にしてしまえば、ジャンプ失敗によるステップアウトで生まれたハーフループも強制的に減点できる。

※折角ですから今回の鈴木選手のハーフループシーケンス、昨季までのルールだとどうなるのか計算したところ、基礎点6.51点となりました(※後半)。ハーフループシーケンスがステップアウト認定されて3Lz+SEQとなった場合の基礎点が5.28(※後半)です。そして、後半の単独3Lzの基礎点が6.6点。これではだれもわざわざやりませんよね、こんなコンビ。



しかし、これは相当な暴論だと思います。失敗の危険を考えたがために、難しいものに対してそれに見合った評価が与えられていなかったのですから。ただ、こういう区別の部分で問題起こして欲しくないという気持ちは大いにあります。




結局、「新採点システムのような細かい部分をつつく採点法はフィギュアに不向き」という後ろ向きの結論が出てきてしまいそうです。とすると「旧採点法は…」という懐古主義(その頃私はリアルタイムでフィギュアを見ていなかったのに苦笑)に走りかねないのが悲しいところ。全面的に旧採点法に戻すのは難しいのに。旧採点法のままだったらオリンピック種目から外される、というIOCの宣告があったんだから。




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余談。入試問題流出事件について。

もちろん事件自体は、他の受験生を馬鹿にする行為で許せないのですが。



京大数学、全問流出していたじゃないですか。


問題を見たんですけれど、どうして京大受験生がこの問題が分からないのか。

私だって全問は無理ですけど(注.sahoは理系です。但し、受験生時代はこの世から数学がなくなればいいと呪うくらい数学がさっぱり出来ませんでした苦笑)、別に全問解けなくてもいいわけだし。7割出来ていれば受かるのに。問1(特に小問の2)と問3は手間かけて流出させてカンニングするより自分でやった方が早いでしょ。いくら文系とはいえ、あーた、京大でしょうが。

数学が苦手な人を貶すつもりは一切ありませんけど、京大の受験生が上記問1(2)と問3が本当に分からなかったとしたら、私は本気で数学勉強したのか疑います。あの問題はどう見ても学校の定期テストレベル。京大受験生クラスの脳みその持ち主にとってはまさに点くれ問題。

フィギュアで例えるとしたら、ワールド最終グループ入りを目標にしているのに2Aも飛べないような状況だと思いますよ。

ま、そんなことはありえないでしょうから。多分複数人で流出させる問題決めていたんでしょうね。Aは問1、Bは問2…みたいに。

大体、同一人物が京大、同志社、早稲田、立教を受けるとは思えない。想像以上に多くの人が絡んでいるのかもしれません。

という家庭教師&元塾講師sahoの感想でした。
by WhiteButterfly189 | 2011-02-28 23:57 | フィギュアスケート採点